最後の一輪

塀からはみだして咲く花よ。なんだか暗示的なので在りし日に撮った。とキザな文句は噓で、昨日撮ったのでした…^^;;

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庭がでっかい角地の家である。背伸びして見る庭に菜園に花園。テーブルとチェアまである。ウラには外車と日本車もある。ちょっとした裕福な家なのだ。

そんな庭の塀からどうしてはみ出してまで咲こうとするのか。狭い敷地だからやむなくはみ出てしまったのか。伸びて自然に飛び出てしまったのか。

咲いてるところを家人はどう言うだろうか。

おいおい家出するな。どんなに首延ばしても、オマエはウチの植物なのだよ。咲き終えて、タネ落としてもそこは地面じゃないよ。アスファルト。ばんばんクルマが走るから、落とした種子はすぐにぺちゃんこだ。おとなしく中でお咲き。

そう言われて、出る杭ならぬ茎はもどされるのか。当人の花に言わせてみよう。

外に出るからこそ咲けるんだ。内にいたら、お日さまが十分に当たらないじゃないか。第一、壁際で縮こまって咲くんじゃ、せっかくの開花も見栄えがしないったらありゃしない。他のやつらより背伸びして、どーんと突き出て、青空をバックに咲きたいんだ。

花には花なりの自己顕示欲もある。塀にとまった鳥もくちばしをとがらせた。

自由が一番。空から見ていると、地面にはいつくばらなきゃいけない植物が可哀想になるよ。伸びてもせいぜい数十メートル。空はもっともっと高いんだ。それを知らずに死んじゃうよりは、数センチでもはみ出した方がいいぜ。

花の茎のずっと下、根元に座っていた根切り虫は言いました。

外だろうと内だろうとどっちでもいい。とにかく伸びた分、根っこをずんと地面に張らないと倒れちまうよ。根がなくとも花は咲く、なんてことはないんだ。それにね、ホンネを言えばぼくらは根っこが大好き。たくさん根を生やしてくれると、おいしいんだよ。

ずっと黙っていた塀が言いました。

どいつもこいつも勝手なことばかり言いやがる。いいか、オレが境界線をつくって守っているんだ。タネを花にして咲かしてやっているんだ。自由主義っていうのは資本主義のことだ。お金があるから自由があるんじゃないか。

そのとき大地が大きく揺れました。地が割れ、壁にも家も崩れました。道路はくにゃりとなりました。しばらくして、瓦礫の中から花が一輪見えています。

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