ヌードという武装解除

始発なので自由席でいいか、と長野新幹線に乗った。出発5分前、1両目までゆくと一列が開いていた。3人がけの席の奥に腰掛けて見回すと、通路を挟んでヘンなのが乗っていた。

黒髪は巻き毛、サングラスをかけて、薄いピンク色のシャツに紅いスカーフタイを巻いている。黒いタイツをビシっと、そしてデニムのショートパンツの裾はまくられている。オンナではない。オトコ、それも中年だった。おや、と思ったのがだ、そいつがトイレに行ったのか、発車間際に席にもどってきたときつまずいて、

「イテテテ…おーイタッ、おーイタッ…」

通路にひっくり返ったのだ。だが通路に立つ乗客の男性も、通路際の席に座る男性も、手をさしのべるのでもなく、じっと見ていた。ひどい、というなかれ。タイツに手をさしのべるのはちょっと勇気がいるじゃないか。

タイツオトコは席に倒れこみ、靴を脱いでタイツの指をフーフーさすった。ぼくは並びの席の窓際で、通路際に人もいたのでさしのべられなかったが、代わりにお腹をかかえた。

と、このオトコのことをFBでに書いたら、cherryさんから手厳しいコメントが入った。

「まあ、そんなに変わらないかと」
「どおいう意味?」
「だってロングヘアで、真っ赤なトレーナーにデニムで、帽子で、よくつまずいてるじゃない?」

と、そいつはぼくだというのだ。いやあそこまでいっていないよ…

とはいえ似ていると言われても仕方ない。上場企業にお邪魔するときもスリムのジーンズですみません。上着は気を遣って青や白もあるけれど、赤が多いし、帽子で髪が長い。ヘンなヤツとのちがいはサングラスとタイツくらいかもしれない。もう少しドレスコードは気をつけよう。

でも自由業は、サラリーマンのようにスーツという一枚看板で生きれるほど甘くない。服も仕事も生き方も、自分を出しきるしかない。服で強烈な個性を出すレディ・ガガは自由業のシンボルだけど、ぼくはお金持ちじゃないからまだムリだしね。

それより昨日今日と外湯(温泉)巡りをして思ったのは、ぼくは裸が好きだ。真っ裸も好き。スパやジャグージーでの水着一枚もいい。

といってもかくべつ自慢できるモノはない。ムキムキでもなくムクムクも大きくない(苦笑)全体にホソホソである。露出狂ではない(たぶん)。でも裸の解放感はたまらない。ばん、と脱ぐ。湯をあびる。どぉーっと湯船につかる。体がキモチいいのはお湯だけのせいじゃない。ぶらぶらゆらゆら、脱いでいるからだ。

ヌードとは「自分の殻を脱ぐ」「肌呼吸で生きる」もっと言えば「武装解除」である。脱ぐ人も脱がれる人も心が解除される。それがキモチいい。

タイツにデニムパンツというキテレツな服は、世間への武装というよりも、世間体という武装を解除する力があるのだと思う。だがタイツオトコよ、つまずいてるようじゃだめだぞ(笑)。しっかりしろ。

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