粘土製のiPad2に想う返品文化

これはひどい事件だけど、ある意味で起きるべくして起きた。「粘土製の偽iPad 2、カナダの大手量販店で販売される

粘土iPad 2が最初に発見されたのは大手家電量販店のFuture ShopおよびBest Buy Canada。続いてWalmartやLondon Drugsでも見つかったという。未開封のタブレットコンピューターを返品する際に内容を確認しないことを悪用したもので、犯人は現金でiPad 2を購入して中身を粘土の塊に入れ替え、再度シュリンクラップをかけて返品したものとみられている。引用元=スラッシュドット 動画はこちら

なんて手が込んでいるのか。iPadの重さにぴったりだけでなく形までそっくりにして…。これは犯罪だ。事件発生を受けて、お店では返品の際に開封するようにしたそうだが、グリコ・森永事件でお菓子包装が変わった(開封後に元に戻せない)のを思い出した。それにシンプルなAppleの製品包装はターゲットになりやすいのかも知れない。

また「アメリカの返品文化」という問題もある。返品に良心の呵責がないんですよね。

ずっと前ですが、LA郊外の家電量販店Fry’sでモデムカードを買った。PCスロットに挿し込んで最初は稼働した。でもすぐに動かなくなった。ひょっとしたら使い方が悪かったのかも知れない。でも使えないのは困る。「交換してくれるだろうか?」とドキドキしながら店舗に向かった。

Fry’sには“返品カウンター”があった。しかも混んでいる。返品者がいっぱいだった。ぼくは箱を置くと「返品か?交換か?」とすぐに訊かれた。交換したいと言うと理由を訊かずにOK、なのだった。

「消費者が王様」のアメリカでは返品は強力な権利である。パーティドレスを着てシミ付けても返品するし、夏休みに運動会があるからとビデオを買って撮影後返却するのもありなのだ。粘土iPad2では最初は被害者が疑われた。でも正直に「粘土が入っていました」と言う消費者はいないですよ。ここでは返品はカルイのだから。

だから返品文化をアピールするマーケティングもアリ。ネットショッピングの靴や洋服では90日とか365日返品自由をうたう。靴なんて特にサイズ違いがありうるから顧客サービスとしてありがたい。でも返品のウラも考えてみよう。

まず未開封なら再販できるか?というと今回の事件のようにできなくなる。返品の再販には消費者団体が目を光らせている。さらに大手小売店は返品を卸やメーカーに押し付けて“顧客主義”を貫く。彼らのフトコロは傷まないのだ。でも返品はアウトレットやジャンクショップ行きとなって、サプライヤーの利益を潰す。返品配送料もコストなばかりか、余計な経済行動なので環境にも悪い。

商売人も地球人なら消費者も地球人。消費者の権利はもちろん必要だが、返品しないように賢く買いたい。商売側では丁寧に売る仕組みを作って返品を減らすマーケティングをすべき。そっちの方が正しい道ですよ。

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