アートは作者が命を注ぐ器

昨日から明日まで巷はお休みだが、ぼくはギャラリー アートマルシェ神田に出ずっぱりだ。明日まで『110の花物語』小林舞香個展、その店番の合間に『ART AID/アートエイド〜アートで東北を支援しよう』の作品紹介のWebsiteづくりをしている。24人のクリエイターの参加を得て、5月16日から29日まで、ぶっ通しで開催する展示・販売会(一部を義援金とする)。

なぜこの企画を思い立ったかと言えば、災害でもアートは無力じゃない、そう思ったから。

 この世の暮らしが儚いからこそ無形のものが好まれる、
 アートには人を立ち上がらせる力がある

すると仙台在住の作家の佐伯一麦さんも似たことを“文学の役割”について書いていた。

【文学とは、生きるためと死者を思うために】

「文学は生きていく人が生きていくために必要なものとして書かれるものだ。だから、文学の言葉は日常に根ざすしかない。非日常に日常を見る。悲惨な状況の中でも人間は生きている。日常を持ちながら生きている。日常を回復する試みが文学だ」

被災した佐伯さんは、だからこそ文学、書くことで再生に寄与したいと言う。もうひとつ“死者との会話”も必要と言う。

「死者を思う、ということはぼくにとって、過去の災厄の死者も合わせて思うということだ。文学をやる以上、今回の犠牲者ともコミュニケートし続ける。日常がいかにもろい足場の上にたっているか、危うい均衡の上に成立しているか。日常のありがたみにこころを添わせること。そこに犠牲者に対する思いも重なってくる」(2011年4月28日付け日本経済新聞より)

生きていくために必要なもの、そして死者を思うために必要なもの。それが文学であると。

【たまさんからのメール】
ではアートとは何のためにあるんだろう。ぼくなんかの思いより、たまさんの思いを書きたい。彼女に「アートエイドをやりますよ」とメールをしたら、返信メールにこうあった。「アートに何ができるか?カズのサッカーに何ができるか?という記事も載ってましたね」と書きつつ、こうあった。

私の地震翌日の問いは音楽に何ができるか?でした。
答えは明快、生き続ける力をもらうことができることです。

都内の高層マンションに住む彼女は、3.11、午後2時46分、インフルエンザの子を看病しながら家で仕事をしていた。その揺れの時、危険を感じて子を抱えてベランダに出た。すると「電信柱やアンテナ、マンションなどがぐにゃぐにゃ動いているのです」。地獄図だ。落ち着け、落ち着かなきゃと思って、ふと彼女の心の中に流れたのは、“ショパンのピアノ曲”だった。子供を抱いてメロディーを口ずさむと心が落ち着いた。

音楽の力に深く感謝した。だから地震翌日の子供の音楽教室も欠かさず、PTA経由で集めた支援物資を夫が相馬市に運搬する。

【アートは作者が命を注ぎ込む器】
文学も音楽もそしてアートも、その持つ力とは、生き続ける希望を与えてくれること。文を読んでどう生きたいか考える。音楽を聴いて身体を躍動させる。鑑賞して魂を揺さぶられる。生きる力が沸々してくる。

だからアートとは作者が命を注ぎ込む「器」だと思う。生命を封じ込めるから、作品は何年も何十年も、時に何世紀も生き続ける。観たり触れたり使ったり身に付けたりするたびに、作者の命を少しずつ分けてもらう。命がピュアで強いほど保つのだ。技巧は必須だがそれは命の保存技術なのである。

さてART AIDにはどのくらいの「器」が集まのか。絵画、イラスト、封筒やポストカード、書、造形、Tシャツ、陶器、アクセサリー、絵本、掛軸、フォトまで、くらしをクリエイティブにするアートが150点ほど、たぶんそれ以上集まる。個展のような統一性はないし、テーマ展のような主張もない。

強いて言えば「生きる器というアートが集結する場」。それでいいと思う。今日から出品作品をひとつずつutteのサイトにアップしています。どうぞお出でください。

ART AID/アートエイド〜アートで東北を支援しよう
2011年5月16日から29日まで
平日13時から19時、土日休日11時から18時
展示場所:アートマルシェ神田
千代田区神田須田町2−25三和ビル6F
03-6206-9600 utte(アット)utte.co.jp

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