祖父のスライス時計と懐中時計

一昨日、昨日と、プロダクトデザイン上の要素である“アクティブメモリー”や“アフォーダンス”について考察をした。三部作や三題噺ではないですが、2日続けて書いたのだから、結びの一本をと思うのは(個人的な)心情。そこで今日は、時計を取りあげて、アクティブメモリーのもう一歩深奥に踏み込んでみたい

【祖父のスライス時計】

The Grandfather Slice Clock is a modern take on the classic grandfather clock. It does look rather cool and fun. 引用元 (祖父のスライス時計はクラシックな祖父の時計の現代からのワンカット。かっこ良くておもしさがある)

このkikkerland(NY)の時計は、まさに祖父の時計をスライスしたというエスプリがある。なぜ“スライス”したのか?この時計のデザイナーRob Price氏のインタビューを見つけた。彼は「デザインをスライスしたかった」というそっけない答えをしているが、ぼくは真意はちがうと思う。

祖父の時間をスライスー当時へのリスペクト

を表すアクティブメモリーを持っている(念のためアクティブメモリーとは「共通に記憶することで、同じ仕草や行動をする引き金」)。柱時計には“古い時代”というメモリーが宿り、このスライスはその一部であるという比喩は、「あの時代と現代はつながる一部なんだ」という感慨も抱かせる。

【祖父の懐中時計】
祖父のスライス時計は巧みに祖父の時代を再現したものだが、それは現代の誰もが抱く普遍的なメモリーである。だが、次のような祖父の時代から<ほんとうに>受け継ぐ懐中時計ではどうだろうか。


この1890年代の懐中時計と似たものを、ぼくは持っている。(ブツが仕事場にあり、手元に画像がないので明日アップします)この時計を持つことは、時代を越えて祖父と時間を共有する感慨がある。それもアクティブメモリーではある。だがこの2つは微妙にちがう。

【2つの時計の売り方はちがう】
祖父のスライス時計』は、祖父の時代の時間をスライスしたデザインである。その時代から今に続く歴史の一部である。それは誰もが共有できる価値をもっている。

このタイプの商品を売る切り口:「コンセプトがわかるあなたへ」
この時計を壁に掛ける遊び心と、時代へのリスペクトや理解を持つことをくすぐる。

一方『受け継いだ懐中時計』は、祖父からのヒストリーでもあり自分のルーツでもあり、自分だけがその価値がわかる。自分の心の中で、自分の思い出と共に生きる。

このタイプの商品を売る切り口:「ヘリテージがわかるあなたへ」
時代をくぐったアンティーク品へのリスペクト、それを大切にする心理をくすぐる。

祖父のスライス時計は、みんなのアクティブメモリーであり、受け継いだ懐中時計は、自分だけのアクティブメモリーである。みんなに向かうか、自分に向かうか、ぐっとくる引き金がちがうのである。アクティブメモリーが外に働くか、内に働くかを理解するのは、セリング上大切なポイントである。

【過去と現代のハイブリッド】
もうひとつ違う切り口の商品を挙げよう。リズム時計の『電波振り子時計』(24,600円)。


これは時間が正確な電波時計であり、懐かしい振り子もある。リビングにあう都会的デザインながら郷愁を誘う。過去と現代のハイブリッドなノスタルジー商品、それを買うのは現代的機能が引き金なのか、昔の名残にほっとして買うのか?

これについては、今日は宿題にしておくけれど、昔からハイブリッドな文化を形成してきた民族が日本人なのだ。その心情に働く機微を読むのが“ものを売る”ということ。だからかんたんではない。

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