『経済成長なき社会発展は可能か?』でっかいカタツムリにならない生き方

近頃いろいろなところに“脱成長人”がいる。

αさんは食の仕事を求めて、食マーケティングの仕事をする傍ら、八王子からもっともっと奥地で、農地を借りて野菜栽培さえ始めた。今日久々に会ったβさんも、その“予備軍”になりそう。勇気凛々に某一流外資系企業に勤め出したβさん、日本の商習慣を無視する理不尽なノルマと、日本法人が単なる本社の伝言ゲームの末端に過ぎないことに気づいて、どうしようかと思っている。

まだまだいる。成長よりも維持を望む経営者。良い大学、良い就職より自分らしさを求める学生。早めにリタイヤして社会貢献したい会社員。ゆっくり歩く若者。何を隠そう、ぼく自身も脱成長人かもしれない。クリエイターの支援なんて、成長志向の人は決してやらないものだ。


脱成長とは何か?作品社の内田眞人編集長から随分前に送られてきて、随分長く積んどくされていた本、『経済成長なき社会発展は可能か?——〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学』を読んだ。こんな長いタイトルをつけたものだから“脱読書”したのだ(笑)。五百歩遅れの読書を赦したもう。

【ラディカル思想に見えるけれどまっとうだ】
セルジュ・ラトーシュ名誉教授の代表作であるこの分厚い本をひとことで言えば、“脱成長”(デクロワサンス)と“ポスト開発”について書かれた本だ。要するに成長志向が地球をますます破壊する、これまでの開発至上主義を捨てて、石器時代の“元来の豊穣な社会”に帰ろうという考えである。序章から気になったフレーズを幾つか抜き書こう。

・利潤の増大など成長への執着心を放棄する
・脱成長社会は、希少性、依存的な欲求、経済的計算、合理的経済人といった抑圧的な想念の中で生産・消費活動をしない
・化石燃料の終焉を見込んでエネルギー自給を目指す
・菜園・多毛作・近隣コミュニティ・小規模職人団体による農業の導入

もう一度ひとことで言えば「経済から抜け出すこと」が脱成長である。それが必要だと主張する背景を読んでみよう。

【カタツムリの教訓】

1986年以来、グローバリゼーションを軌道に乗せてきた金融市場の三つの経済発展政策ー規制緩和、ボーダーレス化、間接金融から直接金融への移行ーによって国家による規制の枠組みは解体し、その結果不平等のゲームが際限なく展開するようになった(同書034)。

戦後40年は先進国から途上国に“成長のおこぼれ”があったが、その分配メカニズムが崩壊したため、金持ちと貧者の格差がひらき、富が一極集中するようになった。また地域開発という名の下に行われた“生産主義の犠牲者”の農村地帯は、どんどん過疎が進んだ。地球環境においても「オゾン層と米国産業が共存することを望む」(ある米国産業界の人物)という事業家の「ホンネ」が、持続可能社会(つまりエコ)への道を歪めている

著者は脱成長についてこう締めくくる。

<脱成長>というスローガンは、成長を際限なく追求することを徹底的に破棄することを至上命題とする。つまり、資本移動を規制緩和しながら利潤を追求し、自然環境と人類に壊滅的な結果をもたらすその目的を破棄することである。(140)

そのあたりのことを、次に引用する“カタツムリの教訓”がうまく言い表している。

かたつむりは、精妙な構造の殻を幾重もの渦巻きに広げると、そのあとは習熟した殻つくりの活動をぱたりとやめる。渦巻きを一重増やすだけで、殻の大きさは16倍にもふえてしまう。そうなると、この生き物には目方の負担がかかりすぎて、かたつむりという安定したくらしに貢献するどころか(中略)文字通り重みがかかりすぎるという結果になるのである。(158)

ある時点で成長と訣別する必要がある。それが<脱成長>。さもなくば生産活動は地球よりも大きくなってしまう。太ったカタツムリはフランス料理だけでたくさんだ。

このあと著者は、脱成長を好循環させる8つの再生プログラムをまとめている。脱成長したいあなた、ぜひお買い求めください。アナザー視点が持てますよ。

作品社の内田さん宛に購入依頼メールを送り、「郷から奨められた」と書けば、作品社の出版目録のおまけが付いてくるはずだ。内田さん、このブログでアフィリエイトできたら『なぎら健壱の東京自転車』を読みたいのだけど


【自分をアゲる脱成長】
勝間さん流の成功志向はもうたくさん。むしろ香山リカさんのいう、成功という世間尺度を越えた生き方をしたい。でも、通勤電車を見回してみよう。漫画に浸り、幼稚顔の中年男子のような<埋没型の脱成長>はいやだ。自分をピックアップさせる脱成長をめざしたい。低成長ではなく、正しいベクトルをもった成長へ。

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