林昆範氏 タイポグラフィ講演会

今日は雨・津波・晴れと目まぐるしい天候でした。起き抜けにコンサル業の下準備(トイレにこもってメモ書き)、家を後にして仕事場へ。コンサル業の続きを呻吟して「まだ5合目」と呟きつつ新宿に出ました。朗文堂さんから紹介されたタイポグラフィ学会の講演会がありまして。

雄壮な漢字書体の歴史を、彫刻系と書写系との大きな系統樹にまとめ、その概念と視覚印象を整理しながら、漢字書体開発のあらたなパラダイムを獲得しようとするものです。引用元 朗文堂News

【cotobaのペダル40.林昆範氏 タイポグラフィ講演会】
むつかしそうですが“株式会社ことば”という(なんとまあ)大それた名前を頂く会社の社長でもありますから、たまには向学しないと。台湾・中原大学助教授の林昆範(リン クンファン)氏の講演『宋朝体と明朝体―書写系と彫刻系書体の相剋』を聴講。

テーマにある“宋朝体成立”はおよそ800年前、そしてわたし達が親しむ明朝体は400年前。その間400年という壮大な年月に何が起きたのか?。


左が林教授

ことばを伝える文字、手書きから印刷への複製で書物として広まってきた。唐の時代に確立した印刷術が、宋朝時代(960-1279)になり、刊行物が“ページ”ごとに固定されるようになった。そこから“均一化と標準化”が始まり、“機能性と造形性のバランス”が取れている宋朝体は、伝達メディアとして広まり、明朝体の原点となった。

明朝(1368-1664)の中期に、民間出版業が盛んになり、書体を書く能書家と、木版に彫刻する刻字職人の分業が崩れ、ひとつになった。そのため文字造形が単純なタテとヨコ線の構成になり明朝体となった。漢字は横棒が多いので明朝体は“文字が扁平”したと林教授は指摘されていたが、明朝体も宋朝体の遺伝子が随所にあるという。

【伝統・正統・破壊】
ハッとしたのは演題の6つ目「書体の伝統と正統」で氏が語ったことば。

「台湾の若いグラフィックデザイナーと話したんですが、彼らが
文字を好き放題に変えてしまうのは学者から見るとおかしなことです。
自分が好きな書体を作るよりも、書体の遺伝子の中に可能性がある」

広告や書籍、ポスターやサインまでいろいろな創作書体がある。想いを伝えるために創作をするのだが、文字は偏旁冠脚(へんぼうかんきゃく)で成立しており、その形を故なく崩すのはどうか?という疑問。DNAを探ることも必要ではないかと氏は言った。

ある書家も同じことを言っていた。「デザイナーが文字の構造を知らずに創りこむのは、文化が崩れます

だが別の書道家は「インスピレーションで描くことは、文字のエネルギーを解き放つこと」と言った。伝統の書体からむしろ離れようとする。伝統と破壊の相克。どちらが正統かという問いかけもでもあり、どちらがぐっとくるかという問いかけでもある。今の創作文字氾濫社会にとっては悩ましい問題。

【行気があることば】

講演会の帰途、書店に寄った。陳列される表紙には“デザイン文字”が踊る。何気なく足を運んだビジネス書のコーナーで、一冊の本を手に取った。“フレッシュネスバーガー社長の現場的発想法 ”。フレッシュネスは好きな店なので。

立ち読みし何ページもめくり、座り読みした(書店にソファあり)。平明な文章がまっすぐささり、共感がたくさん沸く。異端のバーガー屋の気合いが充溢している。ふと林教授が話していたことばを思い出した。

「“行気”とは、文字に勢いがあり、動きがあることです」

栗原幹雄氏の本には“行気がある”と感じた。彼が伝えたいことが、すっと伝わってくる。伝統を守るにせよ新奇を加えるせよ、気合いがこもり人を動かすことこそ、文字の本質だと思う。5合目から進めなかったコンサル業の下準備にも幾つかのヒントをもらった。文字に勢い、仕事にも勢いをことばで。

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